雙柳舘

小学六年生 井上遼一

「遼かなる剣の道」

雙柳舘岩崎道場 井上遼一
 「絶対に負けるもんか」
 僕が試合前に入れる気合の言葉だ。剣道を通して学んだこと、それは目標に向かって、粘り強く挑戦し続けることだ。このことを心がけることで、僕は日々成長し続けることができているように思う。
 しかし、剣道を始めたころは目標がなく、遊びのつもりでだらだらと稽古をしていた。打たれるととても痛いし、試合でもなかなか勝てずに落ち込んでいた。そんなとき先生から、「稽古は試合の様に、試合は稽古のように行いなさい。」と教わった。それからは、稽古も試合のつもりで気合を入れて取り組むことが出来るようになった。また、試合では稽古で取り組んできたことを普段通り出せるように心掛けるようになった。

 そんなある日、憧れの先輩と団体戦に出場できることが決まった。僕はとてもうれしかった。チームの一員としてみんなに迷惑を掛けたくないと思い、もっと真剣に剣道に取り組むようになった。体が思うように動かず涙を流しながら毎日猛烈に練習をした。その試合で粘り強く戦った結果、チームは見事入賞を果たした。僕はとても嬉しく、誇らしかった。

 その後は、面がうまく打てるようになったな、と思うと小手がうまくうてなくなったり、一本を取られることが怖くて足が止まってしまったり、そんなことの繰り返しを続けてきた。団体戦では力が発揮できたなと思うこともあったけど、個人戦では、そばに仲間がいなくて急に心細くなり、負けてしまったりした。そんなとき、先生に、「くやしいだろう。だが、勝ったことはすぐに忘れてしまうけれど、負けたことのくやしさはいつまでも覚えているものなのだよ。負けたくやしさが、次につながるのだよ。」と励まされ、「今度こそ絶対に負けるもんか」と再び頑張った。

 また、負けた本当に悔しい思いをして、気が付いたことがある。それは、試合相手の子も、僕と同じように、勝ちたい、剣道が強くなりたいと毎日努力している、ということだ。みんな同じ、剣道をやる仲間なのだ。そのことに気が付いてからは、勝っても負けても相手に対して敬意を払い、思いやることができるようになった。最近では、ようやく僕らしい剣道のスタイルが少しわかるようになってきた。剣道では、一瞬でも気を抜くと一本をとられてしまう。だから、絶対に気を抜かないこと。逆に、一瞬隙ができた相手にいかに有効な打突をうてるようになるか、そのことに集中するようになった。そうすると、これまで怖くてなかなか捨てきれなかった打突が、だんだん克服されていき、剣道がより楽しくなった。

 こうして粘り強く剣道に取り組んできたことは、学校での生活においても役に立っている。最近では、勉強をしていて分からない問題があっても、わかるまでしっかり取り組むことができるようになった。素振りや技の研究に粘り強く取り組むことを、当たり前にできるようになって、同じような姿勢で剣道にも取り組めるようになったのだと思う。

 また、普段の生活の中でも剣道をやっている人は特に、礼節をわきまえることができていると思う。「おはようございます」「ありがとうございます」僕はどこにいても、誰に対しても大きな声であいさつをすることができる。「剣道をやっているからですね。礼儀正しいね。」と褒められることもあり、本当に剣道をやってきて良かったと思う。
 このように剣道を通して学んだことが今の僕の礎となっている。

 「僕は、剣道をやっています。」

 自信を持って大きな声でいえるように今後も剣道に対して真剣に取り組んでいきたい。
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